時は金なり。
というスピードの時代に長い駄文を書いても読んで頂けないだろう。
とは思いつつも、アルバム全体について話させていただく機会というものも滅多にないものですから、webラジオでダラダラと喋るほど流暢に話すこともできませんし、最初にお詫びさせていただきます。
長文でスミマセン。
「GUALVIDE SONGS」は、RMRが企画したオリジナルSFロボットアクションオーディオドラマ
「超鬼兵ガルヴァイド」の主題歌と劇中音楽=劇伴からセレクトされた楽曲を収録した音楽集です。
物語に主題歌をつけるという仕掛けがいつ頃から始まったのか、詳しく調べてないので不勉強で恐縮なのですが、1920年代の無声映画に関しての実験的な試みやラジオという新しいメディアの出現に伴って登場したようです。
物語と音楽というのは大昔から切っても切れない間柄で、祭りごとと歌の関わりを考えても、音楽、とりわけ歌声との係わりはとっても大きなウェイトを占めているのだろうな、というのは容易に想像がつくわけですが、いざ主題歌となると、もしかしてそれは無くても良いんじゃないのか?
という気もしたのです。
舞台演劇の冒頭で、歌い手さんが舞台の中央やソデに登場して急に歌い出したら唐突だし、お芝居が終わって感動のラストシーンの後に出演者じゃない歌い手さんが現れて歌を歌ったら、どんなに上手くても、それもちょっと興ざめなんじゃないかと。
舞台演劇をたくさん見てきたわけでもないので、中にはそういう演出の舞台もあったりはするのかもしれないんですけれど、舞台演劇にはなくてラジオドラマには設けられた主題曲や主題歌。
舞台演劇とは違う「見えない世界」だからこそ、いかにキャッチーなイベントとして冒頭で成立させるのかという知恵の結晶だなと思ったりもして。
物語に主題歌をつけるというのは、たぶんに映画的な仕掛け、もしくはテレビ的というか映像的というか。
そう感じていたのですが、実はとってもラジオ的なギミックの発想なのかな、と。
違うかもしれませんが。
いずれにしても音楽で物語の玄関口を示すというのは物凄い大発明だなと思うわけです。
というわけで、前置きも長くなって恐縮なのですが、このアルバムのお話です。
ガルヴァイドの企画を立ち上げたのは2008年の12月でした。
それまでにRMRが企画してきた4本のオーディオドラマにも全部主題歌がありました。
それぞれにオープニングとエンディングが対になっています。
ですから、次はどんな物語を作ろうかと思ったときに、まずは歌からだな。
というのは、RMRとしてはいつもの当然の手順とでもいいましょうか。
歌を作るという作業は、ストーリーの規模に関わらず、内容を凝縮して咀嚼しなければ、歌詞に封じ込めることもできないし、旋律も生みだせない。
というスタンスからすると、物語を構築する上で頭の中身を整理するという意味でも、とっても便利な方法だと思っていたりするんです。
プロット練る前の大雑把なプレインストーミングみたいなものかなと。
歌を作るには、当然ですが歌詞の元になる舞台があるわけです。
その舞台装置を構築せずして主題歌は作れません。
主題歌というくらいですから物語の主題を歌にするわけです。
主題の無い歌なんてものもないとは思うのですが、歌だけで物語を表現するのではなくて、歌が物語を代表して語るという仕組みは、歌一本で勝負する場合と、主題歌になる歌との微妙な差があるんじゃないかと思ってます。
まぁ、後付けで主題歌になったとしても、そこに選択された理由は、主題歌として相応しい価値というか親和性があったということですから、主題歌になる歌とそうでない歌には実際には違いってのはないのかもしれません。
敢えて違いがあるとすると、これは運用の話かもしれませんが、一度主題歌になってしまった歌は、他の物語の主題歌には成り得ない。または、成りづらい。のかも。
主題歌じゃない歌というのは、固定された結末の物語を強制しない表現でもあって、歌詞の行間や旋律の起伏の中にある聴いた方の想いが入り込む余地が主題歌という体裁よりは多いんじゃないかとも思われ。
その歌に想いを投影させて心のフィルターを重ねることで生成される
一人ひとりの中にある無限のストーリーと結びつく可能性を持っている。
なんて素晴らしい表現方法なんでしょうか。歌ってのは。
そういう意味では「行間の多いドラマ」を作れたら、これは結構、最高なんじゃないかとも思ったりして。
RMRの物語には、その辺の余白みたいなものを、もっと作りたいなぁ~とは思っているのですが、やっぱり監督としての技量の問題なのか、ガチガチに固めたコンクリートみたいになってしまうんですよ。
役者さんの感性やアドリブに助けられている部分が凄く多いです。
なんたって、ノーディレクション主義のインチキ監督なので(汗)
しかし、「歌」と「物語」という人類が生み出した偉大なる文化のコラボ!
両者が補完しあって紡ぎだされる相乗効果は絶大!
なので「主題歌」という体裁が大好きです。
・・・
主題を決めたら、歌詞を構築するために主題を表現する素材として概略の設定を考えます。
設定を考えるというのは、とても楽しい作業です。でも一番難しいし悩ましい。
物語本体をきちんと構築しようとするには諸々の裏付けとか背景とか年表とか、フィクションゆえに相当に頭を捻らないと薄っぺらなものになってしまうというのは痛感していましたから、さて次の作品をどうするかと考えたときに、ズボラな私は名案を思い付きました。
「主題歌だけ作って遊ぼう!」と。
主題歌だけ作って公開して、そこに流れる物語を知ってもらうというのは、ようするに、一般の歌が積み重ねてきた大いなる王道であって、別に大した思いつきでもない、当たり前の方法論なんですが、「ドラマ本編を作らなくても良い」という音響劇の創作者としては悪魔のような発想で。
ドラマ本編がない『でっちあげ』企画ですが、オープニングとエンディングだけは真面目にやろう。
2曲ぐらいだったら余裕持って作れるだろう、という感じで動き出しました。
まずはオープニング用の曲ということでメロディを考えます。
歌の作り方について専門的に勉強したことがないので、とにかく天から降ってきたメロをハミングで録音して歌詞をつけていく作業です。
サビ部分からメロが出来てくる場合と、いわゆるAメロからの場合だったり、イントロからとか、曲が降ってくるシチュエーションは様々なんですけれども、このアルバムに収録されているものでは、わたしが直接作った歌は1曲を除いて曲が先行です。
歌を作るときにドラマの主題歌として流せる時間というものは決まりがあるわけでもないと思うのですが、最近のアニメとかだと主題歌は1分30秒です。
テレビドラマだと長めのアバンタイトルと短い尺の曲ではじまる体裁もあります。
同人作品だからといってオープニング曲が5分もあったら、物語を楽しもうと態勢を整えたリスナー様は、いつになったら本編はじまるんだよ!となりますし、もしかしたら、90秒でさえストレスになる可能性も大いに考えられます。
それでも入れると決めたからには、リスキーであっても、そこは「入れたい」という作家のエゴを押し通します。
そういう側面から類推すると、オーディオドラマのオープニング用の主題歌は、ワンコーラスで「主題」をお届けしつつ、物語の玄関として効果的な導線として機能しないといけないという、わりと難易度の高い使命を持たされているよな、と思うのです。
一方、エンディングは、エンドロールのナレーションをかぶせたりできるし、オープニングにはない余韻を持たせて、フィクションからノンフィクションのリアルに引き戻すという役目があることもあり、場合によっては90秒に拘らない作り方も出来ますから、作り方のベクトルが違うという楽しさがあるかなぁ~と。
話をオープニングの件に戻します。
歌を作るのにワンコーラスだけじゃ勿体ないというか面白くないので、そこそこ長い、4分ぐらいを目安に曲を考えます。
ドラマ本編では聴いて頂くことが出来ないのに、2番やコーダーも考えちゃいます。
こういうスタイルを発明した人ってホントに凄いなと思います。
1番だけで主題を現す場合もあるし、実は1番をフェイントで使って、2番でちょっと外角に外してみて、最後のコーダーでド真ん中のストレートで本番勝負!とか。
そこに歌詞をハメ込んでいくわけですが、最初っからバッチリ決まった歌詞にはなりませんから、わりと適当に言葉を当てはめて行って、そこそこカッコいい感じに粘土細工をこねていくような感じで悶々と調整していきます。
で、いざ作詞をはじめてみると、何かしっくりこない。
頭脳が完全に昭和ですから、主題歌には、やっぱり作品のタイトルは入れたいわけです。
オリジナルストーリーの主題歌ですから、その歌独特のキーワードを入れたいという欲も出ます。
主役メカとか重要な設定上の単語とか。
必殺技を叫ぶってのは、ちょっとベタすぎるので今回はやめようと。
ライブでは盛り上がるんですけどね。
ですから番組タイトルになる主役メカの名前を考えました。
主役メカが作品タイトルにつかないアニメも増えましたが、というか、主役メカどころか、メカが出ないアニメばかりになってしまったわけですが…
当初は、ナンチャッテ企画設定として某有名モビル○ーツ的なロボットが活躍する世界観で行こうと思っていまして、何案かあがった結果、「超鬼兵ガルヴァイド」に落ち着きました。2009年2月6日でした。
歌だけの企画とはいえ、一応、どんなメカで、どんな設定で、とかは考えるわけです。
そうやって肉付けしていくうちに、やっぱりウズウズしてきてしまうんですよね。
本編制作の醍醐味をすでに4本も作ってしまって知っていますから、これはドラマ制作者の性なのでしょうか、暫定的に考えた登場人物から声が聞こえてきてしまうんですよね。
そうなると、もう辛抱たまらん!ってことで、じゃぁ、1本作ろう!と。
本編が僅かながらでも存在することになって、作品世界を掘り下げたときに、人型メカモノって言っても、某有名モビ○スーツ的なものではない描き方で好き勝手できるのが同人創作でオリジナルと称して作れるオモロサなんじゃないか?
しかも「超鬼兵ガルヴァイド」っていう語感は、全然某有名モ○ルスーツ的じゃない。
どっちかっていうと、不思議パワーで異世界な雰囲気じゃないのか?
という検討の結果、大好きな作品のひとつである「聖戦士ダンバイン」をモチーフにしようと決めました。
ですから、1stオープニングの「FLY」はイントロからして「ダンバインとぶ」です。
1stエンディングも「みえるだろうバイストン・ウェル」です。
オマージュとリスペクトの塊です。パロディではないです、断じて、念のため、一応。
あーもう、これで満足だ!と思ったのも束の間。
そもそもが『でっちあげ』企画なため、「一番盛り上がるエピソードだけをドラマ化しよう」という、完璧に禁じ手というか、自主制作にもほどがあるという手法を思いついてしまうわけです。
で、ダンバインで一番盛り上がるのは、16話の「東京上空」というあたりからの数話のエピソードなわけで、じゃぁ、それやろうよということになりまして、ドラマ本編をお聴き頂いた方で、ダンバインを知っていらっしゃる方は、ツッコみどころ満載なお話となって行くわけです。
そうしたら、脚本の菅谷くんが、ちょっと短編の1本にしちゃうにしては尺が足りないんですぅ~となって、普通だったら、そんなもんバッサリとカットするのがアナタの役目でしょ!
となるわけですが、おもろいから3本つくちゃおう!と。いきなり異世界から舞台になる東京に飛んできちゃうんじゃ格好がつきませんから、主人公が異世界に行ってヘンテコな生体メカのパイロットとして少しくらいは慣れてないとイカンよね、ダンバインなんだし。
ということで本編のない予告だけのエピソードを1話~5話まで考えて、本編の脚本は6話~8話まで練りました。
主題歌は一組できそうだから、歌は全部それで同じで良いよね。主題歌だし。
良いよね。良い、よね。良い? 本当にそれで良いの? 良くないでしょ?
普通、エピソード毎に主題歌を変えるでしょ? 普通…。主題歌だし。
との葛藤の結果、オープニングとエンディングを併せて6曲作ることに。
歌は6曲を作ろうと思った時点で、マキシシングルではなくてアルバム的なコンセプトにしたいという、また壮大なエゴ発動というやつです。
ところが、8話じゃ終われないという思わぬ事態が発生するわけです。
その辺は現在公開中の最終話のスタジオ収録後に録音したキャストトークをお聴き頂くと、なぜ13話構成になったのかというネタバレというか暴露話(笑)が潜んでおります。
9話~11話を予告編だけで終わらせて、重要だけど、いると都合が悪い登場人物は、その予告の中だけでいつの間にか死んでいるという恐ろしいストーリー。
で、12話と13話の美味しいところだけを再び一年後に役者さんに集まっていただいて収録して制作という変則的な流れで作りました。
1クールは13話なのだから13話までにしよう!
でもって、なんといっても中盤以降は主役メカ交代が定番でしょ!
なんだったら、メカと一緒に主役そのものも交代させちゃいましょ!
でも、歌の歌詞は1号メカのまま。ザブングルやダンバインとかはそうでした。
エルガイムもZガンダムも2号メカ登場とともに主題歌が変わりました。
じゃぁ、ガルヴァイドはどうしようか、となるわけです。
そこら辺は、ちょっと仕掛けを考えました。
ということで、歌は10曲になりました。
でもって、どうやら最近のTVアニメは劇場映画化ってのが流行っているらしいってことで、世間の風に流されやすいわたしとしては、その波に乗らない手はない!
というか、単純に予告のナレーションで「劇場版」って言いたかっただけなんじゃないか的な具合で、追加で2曲を作成することに決めて、内容を詰めている段階で、3月の東日本大震災が起きました。
音楽というものは、と言いますか、あらゆる万事は、その事象を受け止めて感じて頂いた方の心に届いたときに、はじめて形になるものだと思っていますし、ドラマ本編をお聴きになっていらっしゃらない方も、このアルバムをお聴き頂いているでしょうから、例えば「この歌のテーマは愛です。こっちの歌は友情です」みたいに押し付けたくもないので、千差万別な、いろいろなご感想を持っていただければ有難いです。
ただ、一つだけ書いておくと、アルバムでは13トラック目に収録してある劇場版用主題歌「ETERNAL」は、震災後に詞を修正して完成させました。
わたしが担当している楽曲は、だいたいこんな手順で制作していました。
・鼻歌でメロを口ずさんだものを録音
・それに合わせて歌詞をつける
・歌詞付きで録音
・森ちゃんにお願いしてmidiデータを起こしていただく
・その際に編曲のβ版のような感じで粗方なオケを作っていただく
・ボーカルさんにオファー
・midiの状態でキーの調整をする
・正式な編曲作業をしていただく
・カラオケのデモ版でボーカルのレコーディングをしていただく
・オケの最終版とボーカルをミックスして完成
若干前後する場合もありますが、今、思い返しますとゾッとするというか、恥ずかしくて穴が無ければ地核まで届くように深く掘って、そこに永久に埋まってしまいたくなるような恐ろしい工程を踏んでいたものだなと反省しています。
森ちゃんのβ版の段階で、楽曲としては超絶アップグレードしてしまうわけですが、それをSENTIVEさんに、更に磨いていただくというような方法をとっていました。
わたしの鼻歌はメトロノームも使っていない本当の鼻歌だったりしたので、テンポが狂っていたり、もちろん、ピッチなんてグダグダですから、それをちゃんとした「音楽」にするという作業の偉大さを知るのは、なんと最後に制作した「ETERNAL」になってからだったわけで、ガルヴァイドが終了した今年(2011年)の4月くらいからは楽曲のデモ制作については、メトロノームとICレコーダー、そして、DAWソフトを導入することにしました(汗)
とは言え音楽理論に全然無知のわたしがどれだけ背伸びしても、どーしようもないって部分もありまして、ロボットアニソン大好きな鴻巣舞ちゃんにお手伝いしてもらうことになりました。
舞ちゃんも独学派なんですけど、少しはマシかなということで。
というわけで、歌が12曲になりました。
関係者の皆様、本当にご迷惑とご苦労をおかけしてスミマセンッ!
ともかく、音楽的才能が皆無のわたしの鼻歌と昭和な歌詞が、こんなにカッコよいアルバムという体裁になったというのは、企画者冥利というか奇跡的というか感謝感激の極みです。
ジャケットやブックレットのデザインも本格的なものは初体験だったので、見よう見まねで耳から煙が出そうになりながらバタバタとやらせていただきました。
長くなりましたが、各曲への思い入れを書かせていただく前に最後に一言だけ。
「超鬼兵ガルヴァイド」の制作にあたって、真摯にお付き合いくださった多くの皆様の多大なるご配慮とご尽力に心より御礼を申し上げます。
そして、数多ある作品の中で、この作品をお聴き頂いた皆様。本当にありがとうございます。
皆様のお心に何か少しでもお届け出来ていれば幸いです。
1. glitter
曲:森田 俊輔
ガルヴァイドという物語への玄関口として配置しました。
楽曲関係の中では一番最初に出来上がった曲です。ドラマ本編のサブタイトルコールのときに使っています。
劇伴担当の森ちゃんから上がって来た第一テイクは正反対のイメージで、メッチャカオス&ダークな印象だったものを変更していただいて、この形になりました。ガルヴァイドの推進機関を音で表現するためにウィンドチャイムを使おうというアイディアになったため、電子音ではなく、ウィンドチャイムの生音をスタジオで何パターンも録音していただきました。
2. FLY
歌:杉宮 加奈 詞・曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
イントロがまんま「ダンバインとぶ」なのが意図の通りだというのは先述のとおりです。
杉宮加奈さんに歌って頂きたい!
と別な作品の収録後のプチ打ち上げで秋葉原のパセラでカラオケをした数年前からズッとたくらんでいたので最初から決め打ちでした。
この曲のサビ部分は劇伴のモチーフにも使っていて、ガルヴァイドが活躍するシーンで何度か使っています。
3. FANTASIA
歌:珠梨 詞・曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
珠梨さんの優しい歌声が大好きなのでお願いしました。
サビメロのリフレインが微妙に変化していく構成の曲ですが素敵に歌っていただけて感無量です。
この曲の制作進行中のメールを確認していたら、ちょうど左足を骨折して入院した状態でやり取りさせていただいていたんだなぁ~と懐かしかったりして。
4. UP
歌:Hi-DEck 詞・曲:古池 真透 編:SENTIVE男性ボーカルでハイトーン。しかも透明感を保ちつつドンドン伸びあがっていく。
そういう歌い手さんはHi-DEckさんだよね!という事でお願いしました。
曲調は自分の中では珍しい雰囲気の方だなと思います。
音域が広いメロなので自分では全然歌えません(汗)
「超鬼兵ガルヴァイド」を3回繰り返すか2回にするのか悩んだのですが、3回にして正解だったなと思います。
5. Serengeti
歌:葉山 りく 詞:チダユージ 曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
憧れの偉大なる詩人チダユージさんに歌詞をお願いしました。
この壮大な歌詞を謳えるのは葉山さんでしょ!と即決でした。
編曲のSENTIVEさんからのデモ版では2コーラス目以降の間奏の音が少ない版だったのですが、完成版のオケが出来たときは鳥肌たちました。まさにSerengeti感炸裂!という感じで。
6. GET
歌:青木 春子 詞・曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
2006年6月6日にmidiデータを作成していたという奇跡の発掘で生まれた歌です。
自分でもどうやって打ち込んだのか記憶にない位、メロとしては良い感じでしたが、アレンジはモッサリしていたので森ちゃんに修正をお願いしました。
デモから完成まで一番編曲のテイク数が多かった曲です。
青木さんから歌い方で、とあるアイディアを頂いて、なるほどそれはナイス!という具合にハマったときは感動でした。
「ガルヴァイド」という主役メカ名を入れるフレーズは、どの曲にも入れたいと思っていたのですが、この曲ではフォークボールのようにストンと落ちる感じでスッキリ入ったなという感じです。
7. 天使のバラード
歌:柊 莉杏 詞・曲:古池 真透 編:SENTIVE
当初予定では物語を締めくくる最後の楽曲。映画的にはエンドロールが流れる雰囲気で作ったものです。
柊さんには以前に「無頼戦艦ゼロガイン」のエンディングを歌っていただいていて、ハツラツとした元気の良さと声の通りがとっても素敵だったので、この曲では情緒豊かに包み込むような優しさ全開で歌っていただきました。
編曲のSENTIVEさんから素敵なご提案を頂いて、ドラマ本編で使われたショート版とアルバム収録版とではアレンジが若干変更になっています。
8. BREAK
歌:LINKAGE 詞・曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
12話と13話を制作する事が決まってボーカルをLINKAGEさんにお願いするまでに、インディーズの音楽配信サイトで1000曲くらいのアーティストさんの歌を聴いて、その中からオファーさせていただいたのが、この楽曲です。
転調するところの伸びやかなところが気持ち良いかな、と。
サウンド的にもSENTIVEさんに無理を言って諸々仕上げて頂いたという意味でも感慨深い一曲です。
この歌の「ガルヴァイド」というフレーズは、ちょっと演歌調にコブシを回すというアイディアを入れてみたのですが、ボーカルのまじゅんさんの個性的な美しい歌声にマッチしたかなと思っています。
9. (Re)boot!
歌:後藤 ハルキ 詞:チダユージ 曲:古池 真透 編:森田 俊輔・SENTIVE
当初は2ndオープニングの予定でチダさんに作詞をお願いしました。
諸事情により後ろ倒しになりまして、しかもエンディングになったという経緯があります。
なので、エンディングですけれど「ガルヴァイド」というフレーズが入っています。
結果的には最終回に繋げる役目を上手く任せられたかなと思っています。
後藤さんには、無頼戦艦ガンシルビー2のエンディングで楽曲を提供していただいた事もあり、1/fゆらぎのような素敵なボーカルをオリジナル曲として収録できたことは凄く嬉しいです。
美しい高音やジャジーな雰囲気も持ち味の後藤さんですが、この曲では敢えて低音勝負で力強く歌って頂きました。
10. Lights
歌:nao 詞・曲:Y・F
naoさんの歌声は本当に素敵。
RMR歌チームの新人・鴻巣舞ちゃんの作詞デビューになる予定でしたが、作曲のY・Fさんのアイディアで全面書き下ししていただいたという経緯の楽曲です。
元歌詞のモチーフはそのままにテンポの良い構成の歌詞と曲に仕上がって、舞ちゃんも勉強になったと言ってました。
制作順番としてはドラマ本編用の楽曲の仕込みが全部出来上がった状態での作業だったので、この「Lights」が劇場版用オープニングになる予定でしたが、最終話のドラマ本編の編集を終えた段階で震災が起きて、わたしの住んでいる地域もかなり被災したこともあり、曲の内容から判断して差し替えました。
というわけで、この曲はオープニングですが劇場版ということを意識して「ガルヴァイド」というフレーズが入っていません。
11. イカロスの欠片
歌:MAJOLICA 詞・曲:チダユージ 編:森田 俊輔
2009年9月頭にチダさんから急にプレンゼント的に歌詞とメロを頂戴して、完成するまでの製作期間が一番長くかかった歌です。
2009年の段階では既に制作楽曲が6曲揃っていたので、イメージソングという枠でした。
ドラマ本編が13話構成に延長になったため最終話エンディング主題歌に配置しました。
3人編成の女性ボーカルというアイディアにたどり着いて、森ちゃんとハーモニーワークについて何度もやりとりしました。
そこに更にMAJOLICAさんからのアイディアで諸々肉付けしていただいて、いろんな面でハードルが高かっただけに出来上がったときは超感動しました。
歌詞カードの中で唯一、ルビを振った楽曲でもあります。
12. DEFENSER
曲:森田 俊輔
劇伴作家・森田俊輔の真骨頂ともいえるオーケストラ編成の楽曲です。
ドラマ本編の最終話のクライマックスで主役メカが必殺技を使うシーンからはじまる戦闘シーンの4分40秒を効果音付きで編集し終わった後に、お芝居に合わせたノンストップで、映像でいうところのカット割り単位で曲の印象を大きく変えるよう計算して作曲して下さいとオーダーした楽曲。
8トラック目の「BREAK」のサビメロをモチーフにして展開しています。
森ちゃんならではの男女混声クワイアが激烈にカッチョ良いです。
物凄い量の注文を言わせていただいたガルヴァイドの劇伴の中でも屈指の名曲だと思っています。
ガルヴァイドの飛翔のイメージであるキラキラ感に拘りました。
13. ETERNAL
歌:yuiko 詞・曲:鴻巣 舞 編:Meis Clauson
歌詞は2010年末には一応完成していたのですが、曲がしっくりこないということで調整を続けていた楽曲です。
当初では最終話用のオープニングの予定でした。
舞ちゃんの作詞・作曲を煮詰めている段階で震災。歌詞も推敲を重ねて今の状態にもって行きました。
被災の影響で停電が続く中、携帯電話の録音機能を使って初稿の仮歌を録ったとりしました。
編曲のMeisさんとはスカイプ会議をしたり。最も打合せが多かった曲かもしれません。
ボーカルのyuikoさんとも、かれこれ面識的にはもうずいぶん長いわけですが、このタイミングでお願いできて本当に良かったです。
フルコーラス版では、2号メカの威厳を保つために、ちょっとした仕掛けを入れ込んでみました。
14. Reminiscence
歌:nao 詞:鴻巣 舞 曲:Y・F
制作時は「Lights」と対になっていた楽曲です。
劇場版のエンドロール用というコンセプトで鴻巣舞ちゃんに詞をお願いしました。
作曲のY・Fさんには「宇宙的に壮大な感じ」というオーダーでした。
レミニセンスは「回想録」という意味の英語です。
未来の回想というタイムパラドックスは物語の中でのキーワードの一翼を担っています。
舞ちゃん曰く、宇宙的解釈なジョン・レノンのイマジンなんだそうな。
naoさんの語りかけるような歌声が、より壮大さを表現していただけていて感動的です。
もう、これで出がらしのようになって、歌なんて作れないんじゃないかと思ってたんですけど不思議なもので、やっぱりそのあともメロが浮かんできちゃうので、ヘロヘロなメロを舞ちゃんに無茶振りして作詞させています。
今後ともRMRはロボットモノでガシガシ行きますので、温かく見守っていただければ有難いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご多忙の中、稚拙な長文を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
2011年11月9日 ふるいけ@RMR制作統括